イベント情報

日本医学交流協会医療団では、健康や医療に関する
市民向けの公開講座を毎年開催しております。 ぜひご参加下さい。

第13回公開講座 市民健康の集い 特別講演「子どもの食物アレルギー」

 

症状の出方は千差万別
前例にとらわれず観察・把握する

 




ではどんな食物がアレルギーにつながりやすいのか、代表的な原因食物を見てみましょう。
乳幼児のアレルギー原因食物の第1位が鶏卵です。なかでもアレルギーの原因となるのは、大半が卵白成分。逆に卵黄がアレルギーを引き起こすケースはほとんどありません。さらに卵白のタンパク質は加熱によって変質するので、アレルギー予防には加熱調理が重要となります。


次いで、乳幼児に多い原因食物が牛乳です。牛乳のタンパク質は加熱してもほとんど変質しません。また乳加工品の場合は種類によってタンパク質の含有量が異なり、パルメザンチーズやプロセスチーズなどのチーズ類、脱脂粉乳などはタンパク質含有量が多いのが特徴です。


小麦は、成人も含めて全年齢における原因食物の第3位に入っており、成人だけに限れば甲殻類に次ぐ第2位となっています。食物依存性運動誘発アナフィラキシーの主要アレルゲンとしても知られています。
日本人の食物アレルギーは、これら3品目で70%以上を占め、乳幼児に関しても、これら3品目によるアレルギーがほとんどです。


では、実際にこどもにアレルギー症状が出たときに、どのように対応すればいいのでしょうか。
ここではっきりと申し上げたいのは「食べて症状が出るのが食物アレルギー」だということ。血液検査などでいくらアレルギーの陽性反応が出ても、発症していなければ食物アレルギーではありません。血液検査の結果はあくまで診断を補助するためのものので、検査結果だけを理由に、いままで問題なくたべていた食物を除去することは、絶対に避けてください。
大切なのは、実際にアレルギーを発症したときに、どういう状況だったかを把握することです。具体的には以下のとおりです。


・食べた食品や量
・症状の様子
・食べてから症状出現までの時間
・症状の持続時間
・症状の再現性はあるか



食物アレルギーの症状は多岐に渡ります。一般的には皮膚・粘膜症状が最も多いですが、皮膚に湿疹などが出ていなくても、呼吸器や消化器に症状が出るケースもあるので注意が必要です。特に気をつけなければいけないのは、緊急性の高い症状です。呼吸、咳、喉、あるいは腹痛、嘔吐、血圧が下がったり意識がなくなるなどしたときは要注意です。


また同じ原因食物によるアレルギーでも人によって症状の出方は違いますし、同じ患者さんでもその時々で違った症状が出たり、症状が変化することもあるので、繰り返し継続的に観察する必要があります。
こどもが食物アレルギーを発症した場合、専門医に相談するのがいちばん確実です。日本アレルギー学会のホームページにて、アレルギー専門医を検索することが可能です。ただし、アレルギーの専門医のすべてが食物アレルギーに精通しているとは限りません。食物アレルギーを専門とする医師は、病院やクリニックのホームページ上でも、それをはっきりとアピールしているケースが多いです。個々の病院のホームページを見て、食物アレルギーに関する記載があるか確認するといいでしょう。


食物アレルギーのこどもと接するうえでは、周囲の人が正しい知識を持つことが非常に重要です。ただ単に食物を除去するだけではなく、こどもの安全、QOLの向上を考え、アレルギーと上手に付き合っていきましょう。


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