イベント情報

日本医学交流協会医療団では、健康や医療に関する
市民向けの公開講座を毎年開催しております。 ぜひご参加下さい。

第13回公開講座 市民健康の集い 特別講演「子どもの食物アレルギー」

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こどもの食物アレルギーについて〜どう向き合いどう取り組むか〜


 

平成30年7月21日(土)、戸山サンライズ(大・中会議室)にて「第13回公開講座・市民健康の集い」(主催/NPO法人日本医学交流協会医療団、 株式会社ドクターズプラザ、後援/新宿区)が開催されました。
当日は、特別講演の講師として神奈川県立こども医療センターアレルギー科の津曲俊太郎氏をお招きし、ご講演をしていただきました。


数あるアレルギー症状のなかでも、乳幼児の患者数が多い食物アレルギー。重症化するケースもあり、その予防法や対処法は、多くのこどもを持つ親にとっての関心事となっています。一方、アレルギー予防・治療の領域は日々の研究の結果、ここ数年で劇的な進歩を遂げており、数年前まで“常識”とされていたものが、現在は否定されているケースも少なくありません。こどもの食物アレルギーに関する最新の研究結果をもとに、その基礎知識と予防法・対処法について解説します。



 

知っておきたい基礎知識
食物アレルギー発症の仕組み

 


私は普段、神奈川県立こども医療センターのアレルギー科で、こどものアレルギー疾患を中心に診察しています。近年、アレルギーの診察のなかでも食物アレルギーに苦しむこどもがふえてきています。
そもそも食物アレルギーとは、「“特定の体質を持った人”が“特定の食べ物”を食べたときに、免疫が異常な反応を起こし、身体にいろいろな症状が出てしまうこと」を指します。ちなみに、ここでいう免疫とは、体内に入ってくる細菌やウイルスなどの「異物=自分の身体ではない、非自己の物質」を攻撃し、排除するシステムです。


私たちが毎日摂取している食物も「非自己の物質」ですが、私たちの生体は口から食べた食物を消化管によって消化・吸収することで「非自己の物質」を「自己の物質」に変えていく「消化システム」を備えています。食物アレルギーの主要な原因物質(=アレルゲン)であるタンパク質を消化酵素が分解し、栄養として吸収しやすくしているのです。さらに、口から食べた食物に対して免疫システムが働きにくくなる「経口免疫寛容」という機能も持っています。私たちの生体は食物という異物に対して何段階もの防御の仕組みが働くことで、異物である食物を栄養として摂取しやすくする機能が備わっているのです。


ところが、こうした機能が体質的に弱かったり、あるいは生まれて間もない幼児のように機能が未熟な場合に、食物アレルギーが発症するのです。
さらに詳しい話をすると、アレルゲンが体内に侵入すると免疫細胞が働いて「IgE抗体」が作り出されます。IgE抗体はその後もずっと体内に存在し続けるので、再びアレルゲンが体内に侵入したときにIgE抗体が働いて、アレルギーが発症すると言われています。


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